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【夜/裏通り/コンビニの灰皿】 (演者、煙草を吸っている) (聞き手、居酒屋から出てきて演者に近寄る) (演者、煙草の煙を吐いて、吸殻を灰皿に落とす) 何だよお前、二次会行かねえの。 ほら、アイツ、何だっけ……坂田?あ、違う? あのキザ野郎だよ。 アレ、目当てじゃなかったの? ハハッ、さっきは残念だったなあ。折角隣取ったのに緊張して話し掛けられなくてさ。 でも、そんなお前に気づいても放っておいたアイツは、お前に対して興味がねえってことが分かったじゃねえか。よかったな、これで無駄打ちしなくていい。 (聞き手:不機嫌になって踵を返す) (演者:聞き手の腕を掴む) もう行っちまうのか?寂しがりな俺をおいて? 冗談(笑) 寂しがりは冗談だけど、行ってほしくないのは本当だぜ? (聞き手:何で?) 「何で」って、じゃあお前は何でここに来たんだよ。 俺とオハナシしたかったからだろ? 俺もそういう気になったんだよ。 俺は一服して、一人で二次会して、帰るつもりだった。 それをお前が邪魔したんだから、責任取って最後まで付き合え。 (聞き手:もう飲めないよ) だろうな。分かってるよ。 お前、緊張し過ぎて無意識に飲みまくってたもんな。 あれ、超ウケたぞ。白い肌がどんどん赤くなって、まるでセッ……。 (聞き手、手で演者の口を塞ぐ) エッチなこと想像した? ハハッ、まじウケる。また赤くなってるよ。 ほら、手。ちょーだい。 (演者、聞き手の手を握る) 熱い。 気温のせい?確かにあっちいけどさ。 そうだ、涼んでけよ。 居酒屋?いや、気が変わった。 俺んち。ここから近いから。 (聞き手:え、変なことしないよね?) 変なことしないよね?……ってそんなこと気にしてんのかよ。 この状況で、しないわけないと思うか? (聞き手:じゃあ無理です。やっぱり帰ります) はいはい、無理って言ったってもう帰れないの。 キミはもう、俺にお持ち帰りされることが決確定しました。観念しな。 (聞き手:演者の手を振り払って逃げようとする) (演者:聞き手の手を強く握る) 嘘嘘、何もしねえよ。 コンビニで煙草買うついでに、酒とつまみとデザート買って宅飲みしようぜ。 甘いもん好きだろ?買ってやるよ。 珍しい?今日パチンコで大勝したからな。 まあ実際、こういうお誘いをするときは金は一銭も惜しむなって死んだジーチャンが言ってたからさ。おもしれえだろ、うちのジーチャン。葬式に歴代彼女がズラーッと参列したときは、バーチャンガチギレで大変だったんだぜ。 その血を継いでるのが俺ってわけ。 (聞き手:でも振られてばっかりだよね) お?俺が彼女に振られ続けてる話もする? まずはその一因であるトーチャンの話なんだけどさ、昔……。 (聞き手:あーもう、いいからミルクレープ買っておうち行こ!) やっとうちに来る気になったかー(笑) 手、繋いだまま行くか? 女は恋人繋ぎ好きだろ? ……いや、まあ確かに恋人じゃあねえけどさ。興が冷めること言うなよ。 (聞き手:もしかして……酔ってる?) 酔ってねえよ。 軽快なスキップで帰れるわ。 お前も一緒にスキップしろ。 (聞き手:やだよ恥ずかしい) はいでは、お嬢様が嫌がってらっしゃるのでスキップは無しで出発しまーす。 レッツゴー(棒読み)。 【二人、演者のマンションに帰る】 ただいまー。 (演者、コンビで買ってきた荷物を座卓の上に置く) ミルクレープ今食べる?冷蔵庫入れとく? 今ね。スプーンついてるよな? ああ、俺はハイボール飲むわ。 (演者、冷蔵庫を覗く) 炭酸あったかな。 お、ギリ。 (二人、ソファーに並び、もたれかかる) お前はジュースね。 カンパーイ。 お前とさしで飲むのも久しぶりだな。 なに、最近発情期なの? いろんな男に色目使ってるらしいじゃん。 ハハッ、そんなことないって? だってやけにパフパフしたブラウス着てねえ? あれ、胸目立つからやめた方がいいよ。 俺だって見ちゃうんだからさ。これはマジで。 今日だって、 (演者、聞き手の袖を引っ張る) こんなザ『女の子』みたいな服着ちゃって。 似合わねえんだよ。学生時代みたいにTシャツにジャージ穿いとけ。ついでに黒縁メガネと汚ェスニーカーも追加で。どうせ職場、服装自由なんだし。 (聞き手:ひどい!せっかく職場デビューしたのに!) 職場デビューってなに(笑) お前は色気とか考えなくていいの。 ほら、いいからクレープ食え。 そんで機嫌直せ。 お前は美味いもん食ってる時が一番可愛いんだから。 (聞き手、ミルクレープを食べてニコニコする) (演者、ポケットから煙草を取り出して、一本吸おうとするが思いとどまる) (聞き手:吸わないの?) 吸わないの?って……お前嫌がるじゃん。 煙草苦手な奴の前では吸わないのが紳士なんだよ。 そういうのはちゃんとしてるの。 それより、お前はほんっと美味そうに食うなあ。一口くれよ。 あーん。 (演者、口を開ける) (聞き手、何事でも無いように演者にミルクレープを食べさせる) うっま。甘さ控えめで、これいくらでも食えるわ。 俺も買って来ればよかった。 (聞き手:半分こする?) 半分こ……ねえ。じゃあたまに口に運んで。 マウストゥーマウスでもいいぞ? なになに、顔赤ェぞ? こんくらいの冗談、真に受けんなよ。ほんっとお前初心で心配。 悪い男に捕まらねえようにな。 (聞き手、演者の口にクレープをつっこむ) ん……(噛む)。 悪い男ってのはあ、具体的に。 セックスだけしてポイする奴とか、浮気して開き直る奴とか、ギャンブルで借金作って金せびってくる奴とか、『下心丸出して、酔っぱらってる女の子を家に上げる男』とか、だよ。 (聞き手、「お前じゃん」という顔で演者を見る) 当ったり前だろ、お前。 酔っぱらった女の子をお持ち帰りは、強姦野郎の常套手段だぞ? 俺、いまお前に何でもし放題。で、こうやって、 (演者、聞き手の腕を捩じ上げ押し倒す) 手、強く掴まれたら動けねえだろ? こんなに簡単に押し倒されちまって、ただでさえ力では男に敵わねえのにさ。簡単に信用すんなよ。いくら同期でも、お前のこと、いかがわしい目で見てるかもしんねえぜ? (聞き手:あなたはそういうことする人じゃないよ) 俺がそういうことしないって、お前ほんと頭ン中お花畑だな。 じゃあキスとかしちゃってもいいの? 好きでもねえ男に、『好きだ』って甘い言葉囁かれて、無理矢理ガチのキスされて、お前そうされても後悔しねえの? (聞き手:腕を突っ張り演者の胸の押す) ほら、拒みてえだろ。俺を退けようとするこの手、上出来だよ。 こういうことになるのが嫌なら、ホイホイ男の部屋には着いて行かねえこった。 ……って。 (演者、はらはらと涙を流す) (演者、聞き手を引っ張り起こす) 悪かったよ。ごめん、泣くなって。 いくら俺でも怖かったな? ほんとにやったりしねえよ。 ただお前があんまり警戒心がねえから、善意でデモンストレーションをしてやろうと……。 (聞き手:そうじゃないの。嬉しくて) え、嬉しい?何だよそれ。 (聞き手:私のこと、女として見てないと思ってたから。あなたにとって少しでも魅力があるなら嬉しいなって) 女としての魅力、がねえわけねえだろ。 お前、見てるこっちが心配になるくらい色気振りまいてんぞ。気づけよ。 浮気しまくってる坂田も、井上も、佐々木も、俺が牽制してるからお前に近寄ってこねえだけで、裏では涎垂らして機会を窺ってるよ。 (聞き手:私を守ってくれてるってこと?) 別に守ってるわけじゃねえ。 ……気分悪ィだろ。同僚が、好きな女が、いやらしい目で見られてるなんてさ。 (聞き手:好きな女?私のこと、好きなの?) あー撤回、撤回。好きじゃねえ。好きじゃねえよ。 同僚のよしみってやつだ。いいからそれ食っちまえ。 ぬるくなると上手くね……んぐぐ……っ。 (聞き手、演者の口にクレープをつっこむ) (演者、咀嚼、嚥下する) (聞き手:ねえ、私のこと好き?) んだよ、しつけえな。 好きじゃねえって。……いや、好意はあるよ、普通に。 同期だし、俺ら別に仲悪くねえだろ。 だから、こうやって二人で飲んだりすることも、嫌、じゃねえし。 ……だから、好き……好き?う、う…………ん。 ………………好き、かも、……しんねえ、けど。 (演者、まっ赤になって視線を逸らす) (聞き手、口元に手を当て感激の表情をする) んだよ、その顔ムカつくなあ! 好きだよ!好きで悪ィか! お前があんまり鈍いから、バラすのに三年もかかっちまったわ! あーもうサイアク。こんなん恥かし過ぎるだろ。 こら、お前、タクシー代出してやるから帰れ。 もう顔会わせてらんな…………んっ。 (聞き手、目をキラキラさせながら、演者の口にクレープをつっこむ) (聞き手:私も、嫌な人と間接キスなんかしないの) 突然またお前は、ケーキ食わせてくんな!空気読め! 確かに、嫌いな奴と間接キスなんかしねえかもしんええけどさ……。 じゃあ俺のこと、嫌いじゃねえってこと? (聞き手:嫌いどころか、好きだよ?) 好き……マジで?こんなときに冗談はやめろよな。 ……じゃあ、マジならさ、また、手握ってもいいか? 前に、出して。そう、下から包むようにするから。 (演者、聞き手の両手に触れる直前で止める) いいのか?これやっちゃったら、両想いって思っちまうけど。 (聞き手、頷く) そうか。俺、……もう迷わねえからな。 (演者、聞き手の両手を自分の両手で包む) 好き、だ。 お前も、そうだってことだよな……? (聞き手、頷く) (演者、息をつく) ……緊張した。 なあ、抱きついてもいいか? 安心したら身体から力抜けちゃってさ。 (聞き手、頷く) (演者、もたれかかるように聞き手に抱きつく) ずっとこういうことしたかった。 下心ありきでお前のことを見て、俺が一番悪い男だったってわけだ。 (聞き手:私もずっとあなたからこういうことされたくて、女の子らしい格好してたんだよ?) ん?お前、俺からこういうことされたくて、可愛い格好してた? んなの気づくかよ。いきなり色気づいたから好きな奴でもできたんだと思ってたわ。 いや、嬉しいけどさ。でも、俺の前では油断して。ほら、口開けて。 今度は俺がお前に食わせてやる。 あーん。 (演者、クレープを聞き手の口に入れる) (聞き手、口を開ける) どうだ?人から食わされると、自分で食う以上に甘ェよな。 今度スイパラにでも行くか。いや、別に苦手じゃねえよ。 美味そうに食うお前の顔見られれば満足だわ。 よし、飲むかー。 たんまり買ってきたから二次会だ。 お前にはオレンジジュースお酌してやるよ。 じゃあ、二度目のカンパイ。 (聞き手、一気飲み) お、いい飲みっぷり。 酔ったら、ベッド使えよー。 べ、別に何もしねえってば。