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15~20分程度の女性向け台本。
九竜ツバサ
作家
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本文
【夜/裏通り/コンビニの灰皿】
(演者、煙草を吸っている)
(聞き手、居酒屋から出てきて演者に近寄る)
(演者、煙草の煙を吐いて、吸殻を灰皿に落とす)
何だよお前、二次会行かねえの。
ほら、アイツ、何だっけ……坂田?あ、違う?
あのキザ野郎だよ。
アレ、目当てじゃなかったの?
ハハッ、さっきは残念だったなあ。折角隣取ったのに緊張して話し掛けられなくてさ。
でも、そんなお前に気づいても放っておいたアイツは、お前に対して興味がねえってことが分かったじゃねえか。よかったな、これで無駄打ちしなくていい。
(聞き手:不機嫌になって踵を返す)
(演者:聞き手の腕を掴む)
もう行っちまうのか?寂しがりな俺をおいて?
冗談(笑)
寂しがりは冗談だけど、行ってほしくないのは本当だぜ?
(聞き手:何で?)
「何で」って、じゃあお前は何でここに来たんだよ。
俺とオハナシしたかったからだろ?
俺もそういう気になったんだよ。
俺は一服して、一人で二次会して、帰るつもりだった。
それをお前が邪魔したんだから、責任取って最後まで付き合え。
(聞き手:もう飲めないよ)
だろうな。分かってるよ。
お前、緊張し過ぎて無意識に飲みまくってたもんな。
あれ、超ウケたぞ。白い肌がどんどん赤くなって、まるでセッ……。
(聞き手、手で演者の口を塞ぐ)
エッチなこと想像した?
ハハッ、まじウケる。また赤くなってるよ。
ほら、手。ちょーだい。
(演者、聞き手の手を握る)
熱い。
気温のせい?確かにあっちいけどさ。
そうだ、涼んでけよ。
居酒屋?いや、気が変わった。
俺んち。ここから近いから。
(聞き手:え、変なことしないよね?)
変なことしないよね?……ってそんなこと気にしてんのかよ。
この状況で、しないわけないと思うか?
(聞き手:じゃあ無理です。やっぱり帰ります)
はいはい、無理って言ったってもう帰れないの。
キミはもう、俺にお持ち帰りされることが決確定しました。観念しな。
(聞き手:演者の手を振り払って逃げようとする)
(演者:聞き手の手を強く握る)
嘘嘘、何もしねえよ。
コンビニで煙草買うついでに、酒とつまみとデザート買って宅飲みしようぜ。
甘いもん好きだろ?買ってやるよ。
珍しい?今日パチンコで大勝したからな。
まあ実際、こういうお誘いをするときは金は一銭も惜しむなって死んだジーチャンが言ってたからさ。おもしれえだろ、うちのジーチャン。葬式に歴代彼女がズラーッと参列したときは、バーチャンガチギレで大変だったんだぜ。
その血を継いでるのが俺ってわけ。
(聞き手:でも振られてばっかりだよね)
お?俺が彼女に振られ続けてる話もする?
まずはその一因であるトーチャンの話なんだけどさ、昔……。
(聞き手:あーもう、いいからミルクレープ買っておうち行こ!)
やっとうちに来る気になったかー(笑)
手、繋いだまま行くか?
女は恋人繋ぎ好きだろ?
……いや、まあ確かに恋人じゃあねえけどさ。興が冷めること言うなよ。
(聞き手:もしかして……酔ってる?)
酔ってねえよ。
軽快なスキップで帰れるわ。
お前も一緒にスキップしろ。
(聞き手:やだよ恥ずかしい)
はいでは、お嬢様が嫌がってらっしゃるのでスキップは無しで出発しまーす。
レッツゴー(棒読み)。
【二人、演者のマンションに帰る】
ただいまー。
(演者、コンビで買ってきた荷物を座卓の上に置く)
ミルクレープ今食べる?冷蔵庫入れとく?
今ね。スプーンついてるよな?
ああ、俺はハイボール飲むわ。
(演者、冷蔵庫を覗く)
炭酸あったかな。
お、ギリ。
(二人、ソファーに並び、もたれかかる)
お前はジュースね。
カンパーイ。
お前とさしで飲むのも久しぶりだな。
なに、最近発情期なの?
いろんな男に色目使ってるらしいじゃん。
ハハッ、そんなことないって?
だってやけにパフパフしたブラウス着てねえ?
あれ、胸目立つからやめた方がいいよ。
俺だって見ちゃうんだからさ。これはマジで。
今日だって、
(演者、聞き手の袖を引っ張る)
こんなザ『女の子』みたいな服着ちゃって。
似合わねえんだよ。学生時代みたいにTシャツにジャージ穿いとけ。ついでに黒縁メガネと汚ェスニーカーも追加で。どうせ職場、服装自由なんだし。
(聞き手:ひどい!せっかく職場デビューしたのに!)
職場デビューってなに(笑)
お前は色気とか考えなくていいの。
ほら、いいからクレープ食え。
そんで機嫌直せ。
お前は美味いもん食ってる時が一番可愛いんだから。
(聞き手、ミルクレープを食べてニコニコする)
(演者、ポケットから煙草を取り出して、一本吸おうとするが思いとどまる)
(聞き手:吸わないの?)
吸わないの?って……お前嫌がるじゃん。
煙草苦手な奴の前では吸わないのが紳士なんだよ。
そういうのはちゃんとしてるの。
それより、お前はほんっと美味そうに食うなあ。一口くれよ。
あーん。
(演者、口を開ける)
(聞き手、何事でも無いように演者にミルクレープを食べさせる)
うっま。甘さ控えめで、これいくらでも食えるわ。
俺も買って来ればよかった。
(聞き手:半分こする?)
半分こ……ねえ。じゃあたまに口に運んで。
マウストゥーマウスでもいいぞ?
なになに、顔赤ェぞ?
こんくらいの冗談、真に受けんなよ。ほんっとお前初心で心配。
悪い男に捕まらねえようにな。
(聞き手、演者の口にクレープをつっこむ)
ん……(噛む)。
悪い男ってのはあ、具体的に。
セックスだけしてポイする奴とか、浮気して開き直る奴とか、ギャンブルで借金作って金せびってくる奴とか、『下心丸出して、酔っぱらってる女の子を家に上げる男』とか、だよ。
(聞き手、「お前じゃん」という顔で演者を見る)
当ったり前だろ、お前。
酔っぱらった女の子をお持ち帰りは、強姦野郎の常套手段だぞ?
俺、いまお前に何でもし放題。で、こうやって、
(演者、聞き手の腕を捩じ上げ押し倒す)
手、強く掴まれたら動けねえだろ?
こんなに簡単に押し倒されちまって、ただでさえ力では男に敵わねえのにさ。簡単に信用すんなよ。いくら同期でも、お前のこと、いかがわしい目で見てるかもしんねえぜ?
(聞き手:あなたはそういうことする人じゃないよ)
俺がそういうことしないって、お前ほんと頭ン中お花畑だな。
じゃあキスとかしちゃってもいいの?
好きでもねえ男に、『好きだ』って甘い言葉囁かれて、無理矢理ガチのキスされて、お前そうされても後悔しねえの?
(聞き手:腕を突っ張り演者の胸の押す)
ほら、拒みてえだろ。俺を退けようとするこの手、上出来だよ。
こういうことになるのが嫌なら、ホイホイ男の部屋には着いて行かねえこった。
……って。
(演者、はらはらと涙を流す)
(演者、聞き手を引っ張り起こす)
悪かったよ。ごめん、泣くなって。
いくら俺でも怖かったな?
ほんとにやったりしねえよ。
ただお前があんまり警戒心がねえから、善意でデモンストレーションをしてやろうと……。
(聞き手:そうじゃないの。嬉しくて)
え、嬉しい?何だよそれ。
(聞き手:私のこと、女として見てないと思ってたから。あなたにとって少しでも魅力があるなら嬉しいなって)
女としての魅力、がねえわけねえだろ。
お前、見てるこっちが心配になるくらい色気振りまいてんぞ。気づけよ。
浮気しまくってる坂田も、井上も、佐々木も、俺が牽制してるからお前に近寄ってこねえだけで、裏では涎垂らして機会を窺ってるよ。
(聞き手:私を守ってくれてるってこと?)
別に守ってるわけじゃねえ。
……気分悪ィだろ。同僚が、好きな女が、いやらしい目で見られてるなんてさ。
(聞き手:好きな女?私のこと、好きなの?)
あー撤回、撤回。好きじゃねえ。好きじゃねえよ。
同僚のよしみってやつだ。いいからそれ食っちまえ。
ぬるくなると上手くね……んぐぐ……っ。
(聞き手、演者の口にクレープをつっこむ)
(演者、咀嚼、嚥下する)
(聞き手:ねえ、私のこと好き?)
んだよ、しつけえな。
好きじゃねえって。……いや、好意はあるよ、普通に。
同期だし、俺ら別に仲悪くねえだろ。
だから、こうやって二人で飲んだりすることも、嫌、じゃねえし。
……だから、好き……好き?う、う…………ん。
………………好き、かも、……しんねえ、けど。
(演者、まっ赤になって視線を逸らす)
(聞き手、口元に手を当て感激の表情をする)
んだよ、その顔ムカつくなあ!
好きだよ!好きで悪ィか!
お前があんまり鈍いから、バラすのに三年もかかっちまったわ!
あーもうサイアク。こんなん恥かし過ぎるだろ。
こら、お前、タクシー代出してやるから帰れ。
もう顔会わせてらんな…………んっ。
(聞き手、目をキラキラさせながら、演者の口にクレープをつっこむ)
(聞き手:私も、嫌な人と間接キスなんかしないの)
突然またお前は、ケーキ食わせてくんな!空気読め!
確かに、嫌いな奴と間接キスなんかしねえかもしんええけどさ……。
じゃあ俺のこと、嫌いじゃねえってこと?
(聞き手:嫌いどころか、好きだよ?)
好き……マジで?こんなときに冗談はやめろよな。
……じゃあ、マジならさ、また、手握ってもいいか?
前に、出して。そう、下から包むようにするから。
(演者、聞き手の両手に触れる直前で止める)
いいのか?これやっちゃったら、両想いって思っちまうけど。
(聞き手、頷く)
そうか。俺、……もう迷わねえからな。
(演者、聞き手の両手を自分の両手で包む)
好き、だ。
お前も、そうだってことだよな……?
(聞き手、頷く)
(演者、息をつく)
……緊張した。
なあ、抱きついてもいいか?
安心したら身体から力抜けちゃってさ。
(聞き手、頷く)
(演者、もたれかかるように聞き手に抱きつく)
ずっとこういうことしたかった。
下心ありきでお前のことを見て、俺が一番悪い男だったってわけだ。
(聞き手:私もずっとあなたからこういうことされたくて、女の子らしい格好してたんだよ?)
ん?お前、俺からこういうことされたくて、可愛い格好してた?
んなの気づくかよ。いきなり色気づいたから好きな奴でもできたんだと思ってたわ。
いや、嬉しいけどさ。でも、俺の前では油断して。ほら、口開けて。
今度は俺がお前に食わせてやる。
あーん。
(演者、クレープを聞き手の口に入れる)
(聞き手、口を開ける)
どうだ?人から食わされると、自分で食う以上に甘ェよな。
今度スイパラにでも行くか。いや、別に苦手じゃねえよ。
美味そうに食うお前の顔見られれば満足だわ。
よし、飲むかー。
たんまり買ってきたから二次会だ。
お前にはオレンジジュースお酌してやるよ。
じゃあ、二度目のカンパイ。
(聞き手、一気飲み)
お、いい飲みっぷり。
酔ったら、ベッド使えよー。
べ、別に何もしねえってば。